虎久が吼える

違和感や危機感を感じる出来事に、虎久が吼えます

加計学園の獣医学部認可についての報道を注視②>>「4条件」の性格は?

 いわゆる「4条件」とは、どのような性格のものなのでしょうか?

 マスコミでは、「4条件について審議されておらず手続上問題がある」、「4条件はクリアしておらず獣医学部の設置は認めるべきではない」などの発言がよく伝えられています。これらのマスコミ報道などを聞いていると、「条件」という言葉の強さも相まって、獣医学部を設置する際に越えなければならない「厳格な(規制)基準」が いわゆる「4条件」であるかのように思えてきます。

 しかし、本当に、いわゆる「4条件」とは、マスコミが振り撒いている印象のような「厳格な(規制)基準」という性格のものなのでしょうか?

 このような疑問に答えるために、以下において、いわゆる「4条件」が記されている『「日本再興戦略」改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―』やその大元である『日本再興戦略 ―JAPAN is BACK― 』の性格をつかみ、『「日本再興戦略」改訂2015~~』においてどのような文脈の中で記述されているのかを見ていくことで、いわゆる「4条件」の性格を明らかにしていきたいと思います。

 

◇『日本再興戦略~~』及び『「日本再興戦略」改訂2015~~』の性格

 『日本再興戦略~~』は、平成25(2013)年6月14日に閣議決定されたもので、第二次安倍内閣の成長戦略=第三の矢としての成長戦略が記述されているものです。これは、以後、毎年改訂が行われて、平成29(2017)年6月9日には名称も『未来投資戦略2017 ―Society5.0の実現に向けた改革― 』として閣議決定されています。

 『日本再興戦略~~』では、「成長への道筋」の一つとして「規制・制度改革と官業の開放を断行する」(P3)として、「異次元のスピードによる政策実行」と「『国家戦略特区』を突破口とする改革促進」(P8)により成長戦略を実現していくと謳っています。

 このことから『日本再興戦略~~』で示されている成長戦略は、「規制」方向のベクトルではなく「規制緩和」側に大きく振れているものであることは明らかです。

 『「日本再興戦略」改訂2015~~』については、「日本再興戦略改訂の基本的な考え方」の中で「構造改革としての第三の矢の成長戦略を大胆かつスピード感を持って『実行している最中』にある。(略)今後とも経済の好循環を維持し、そして成長路線を辿っていけるかどうかは、(略)より自由な発想が生かされる競争環境下で最も効率的かつ効果的な投資が行われることを通じて、(略)『生産性革命』を成し遂げられるかどうかにかかっている」(P1~P2)としています。さらに、「地方の活性化なくして、国全体の成長はなく、アベノミクスの成功もない。(略)アベノミクス第二ステージとは、(略)『未来投資による生産性革命の実現』と、『ローカル・アベノミクスの推進』、この二つを車の両輪として推し進める(後略)」(P3)としています。これらのことから、『「日本再興戦略」改訂2015~~』は、地方にも目を向けて『日本再興戦略~~』を深化させ、規制緩和の方向性をより強めるかたちで引き継いだものといえるのではないでしょうか。

 このように『日本再興戦略~~』及び『「日本再興戦略」改訂2015~~』は、どちらも“規制緩和による成長戦略”という性格を色濃く持っていると思います。

 

◇『「日本再興戦略」改訂2015~~』における いわゆる「4条件」

いわゆる「4条件」については、『「日本再興戦略」改訂2015~~』の「残された集中取組期間における国家戦略特区の加速的推進」という項目で「いわゆる岩盤規制全般について突破口を開いていくためには、(略)一層のスピード感を持って、大胆な規制改革を実現することが不可欠である。このため、(略)具体的な事業や提案ニーズに柔軟かつスピーディに対応し目に見える成果を打ち出していくことが重要である」(P116~P117)という文脈の中で「地方主導による大胆な規制改革の実現」の一つとして示されています。

『「日本再興戦略」改訂2015~~』自体が“規制緩和による成長戦略”という性格を持っていますが、その中でも特に強く「規制緩和」を打ち出している部分で いわゆる「4条件」=「獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討」が示されているということになります。

 

〇いわゆる「4条件」の性格

◇いわゆる「4条件」は規制・排除のための基準なのか?

 マスコミからは「4条件はクリアしておらず獣医学部の設置は認めるべきではない」などの発言が伝えられてきます。また、日本獣医師会の平成27年度 第4回理事会(H27.9.10)においては、オブザーバー参加していた日本獣医師政治連盟委員長の北村氏にいたっては石破地方創生大臣(当時)の発言を紹介するかたちで「今回の成長戦略における大学、学部の新設の条件」と明言しています。さらに、会長の蔵内氏は、日本獣医師会「会長短信 春夏秋冬(29)」において「大きな壁が4つ」とさえ書いています。これらの発言は、いわゆる「4条件」を、「この基準をクリアしなければ参入できない」というような規制基準・排除基準としてとらえていると思われます。

 しかし、前述のように、いわゆる「4条件」は規制緩和の文脈の中での記述されていることを考えると、参入を排除するための基準としてとらえることには問題があると考えます。

 いわゆる「4条件」とは、次の文章(段落と〇付数字は、わかりやすくするために筆者が加えたもの)を指しますが、④の後半にある「検討を行う」が述語部分であり、①~④はそのための前提や条件、留意事項とでもいうべきものです。「①の時には②かつ③の条件を満たすものについて④しつつ検討を行う」ということです。

 ①現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、

 ②ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、

 かつ、

 ③既存の大学・学部では対応が困難な場合には、

 ④近年の獣医師の需要動向も考慮しつつ、 全国的見地から本年度内に検討を行う。

 これからわかることは、いわゆる「4条件」とされているものは、あくまでも「検討」を行うためのものであり、『「日本再興戦略」改訂2015~~』の性格や文脈を考えると、ここでの「検討」は「規制緩和に向けた検討」ということになると思います。

 しかも、規制緩和を積極的に推し進めるとしている部分で取り上げられていることを考えると、いわゆる「4条件」については、これに適わなければ検討しないという制限的・制約的なものではなく、「最低限 いわゆる『4条件』に適っているものについては規制緩和に向けて検討する(しなければならない)」というように解釈すべきものと考えます。

 つまり、いわゆる「4条件」を規制・排除のための基準のごとく扱うのは間違いだと考えているということです。むしろ、極論をいえば、逆に、関係省庁の合意さえ整えば、仮に いわゆる「4条件」を満たしていなくとも規制緩和に向けて検討し、実際に参入させることも十分に可能と考えています。いわゆる「4条件」とはそのようなものであると思います。

 

◇いわゆる「4条件」は厳格・厳密な基準なのか?

 「具体的数字として示されておらず獣医師の具体的需要は明らかになっていない」や「カリキュラムの一部に組み込んでいる大学もあり、『既存の大学・学部では対応できない』とはいえない」などと、いわゆる「4条件」を厳格・厳密に適用すべきとするような発言がマスコミなどから流れてきますが、はたして いわゆる「4条件」とはそのような性格のものなのでしょうか。

 いわゆる「4条件」は、数量的指標や客観的指標により明確に定められているものではありません。「新たに」や「明らか」、「困難」など主観的な指標により定められています。

 このことから、いわゆる「4条件」の適用にあたっては一定程度の裁量が行政側に当初より与えられていると考えるのが普通だと考えます。どこかの大学でほんのわずかでもやっていたら「新たに」の条件をクリアしないなどという話ではなく、全体としてどうなのかという観点で、裁量の幅の中で行政が判断するものだと考えます。

 そして、いわゆる「4条件」が規制緩和の文脈で記述されていることから、その裁量については規制緩和の方向にはかなりの幅があるものと考えます。

  

 いわゆる「4条件」の性格についての私の理解は、決して突飛なものではなく、至極まっとうで常識的なものだと思います。

 

 昨日(平成29年11月14日)、加計学園獣医学部設置について文科大臣の正式な認可がおりました。これからマスコミ報道には、「4条件」という言葉が躍ることでしょう。

 その際、私は、いわゆる「4条件」をメディアがいかに扱い、伝えるのかということを注視したいと思います。その性格を十分踏まえた上で伝えるのか、性格など考慮することなく一方的な主張を伝えて「4条件を恣意的に判断し審査を通した」「疑惑は深まった」と煽るのでしょうか。

 はたして、メディアはどのように報じるのだろうか・・・

加計学園の獣医学部認可についての報道を注視①>> 「4条件」とは何か?

 

 加計学園獣医学部の新設を認める大学設置・学校法人審議会の答申が、平成29年11月9日に文科大臣に提出されました。近いうちに文科大臣より認可されることでしょう。そうなると、国会審議が行われることも相まって、今後、加計学園に関するマスコミ報道が多くなることが想定されます。

 これまでの加計学園に関するマスコミ報道においては、閉会中審査の審議内容を報じるに当たって、大半を前文科事務次官の前川氏の発言紹介に費やし、国会審議の全体像を伝えない(一部)メディアがありました。

 このような報道は、国民に一方の意見を殊更に伝えるものであり、事実と異なる誤った印象を国民に与えかねないものです。健全な民主主義が行われるためには、意見が分かれるようなものについては、双方の意見を聞いた上で判断することが重要と考えますが、このような報道が続けば、そのような民主主義の基礎部分が毀損されかねないと思っています。

 そのようにしないためには、メディア(特に、公共の電波を使っているテレビ)が偏向したら指弾することももちろん重要ですが、我々もマスコミに流されることなく、ファクトをしっかりと把握した上で自分なりの意見を持つことも同じように大切だと思います。

 そこで、加計学園獣医学部認可についてのこれからの報道を注視していくうえで重要になると思われる いわゆる「4条件」について、自分の頭を整理する意味で、これから数回にわたってポイントをまとめていきたいと思います。

〇加計報道で使われている いわゆる「4条件」とは何を指すのか?

  加計学園獣医学部の新設を認める審議会の答申を伝えるニュースでは、「4条件についての審議がなされておらず、手続に瑕疵がある」旨の主張があることを紹介し、これから問題になる可能性をにおわせたりしています。

 このように、テレビなどでは「4条件」や「石破4条件」と特に説明もなく使用することが多いですが、そもそも、いわゆる「4条件」とは何のことでしょうか? このことについて詳しく、そしてわかりやすく説明している、質の高いブログ記事がありますので、それを読んでいただきたいと思いますが、いわゆる「4条件」を簡単に言えば、次のようになります。

◆いわゆる「4条件」は、平成27(2015)年6月30日に閣議決定した『「日本再興戦略」改訂2015 ―未来への投資・生産性革命―』において、「残された集中取組期間における国家戦略特区の加速的推進」のために新たに講ずべき具体的施策のひとつとして示された(P121)ものです。

※『「日本再興戦略」改訂2015 ・・・・・ 』の中での「4条件」の位置づけ

 >第二 3つのアクション

    >5-1 「国家戦略特区」の実現/・・・・・・)

       >(3)新たに講ずべき具体的施策

          >ⅱ)残された集中取組期間における国家戦略特区の加速的推進

            >(地方主導による大胆な規制改革の実現)

 いわゆる「4条件」⇒ > ⑭ 獣医師養成系大学・学部の新設に関する検討

◆いわゆる「4条件」は、具体的には、

・現在の提案主体による既存の獣医師養成でない構想が具体化し、ライフサイエンスなどの獣医師が新たに対応すべき分野における具体的な需要が明らかになり、かつ、既存の大学・学部では対応が困難な場合には、近年の獣医師の需要動向も考慮しつつ、全国的見地から本年度内に検討を行う。

というように記述されていますが、野党やマスコミなどは、次の4つを指して「4条件」と言っているようです。

 条件1 既存の獣医師養成でない構想の具体化

 条件2 獣医師が新たに対応すべき分野における具体的需要が明らか

 条件3 かつ、既存の大学・学部では対応が困難

 条件4 近年の獣医師の需要動向も考慮

 

いわゆる「森友・加計問題」とは何だったのか?

 

 

 今年(平成29年)の2月から、閉会中審査を開催するなど多くの国費を投じて国会で審議され、ワイドショーを賑わせ続けた、いわゆる「森友・加計問題」とは何だったのかという問いに、的確に答えている(と私は思っている)本が出版されました。

 小川榮太郎氏の筆による「徹底検証『森友・加計事件』朝日新聞による戦後最大級の報道犯罪」(飛鳥新社)がそれです。

書名が内容を端的に表していますが、朝日新聞の記事はもとよりテレビや雑誌での取り上げ方、国会等の議事録などを丹念に分析して、書名のような結論を導いています。

 この本を読むことで、マスコミ報道に漠とした違和感を感じていた方は目の前の霧が晴れていく快さを、また、これまで特に何も感じていなかった方は新たな地平に立った視界の広がりを感じることができるでしょう。ぜひお読みください。

 小川氏は、この報道犯罪について、「戦後最大の国民への背信行為」であり、「日本の主権者たる国民であり、日本の民主主義そのもの」を“否定”したと指弾しています。

 しかし、私は、小川氏の表現は優しすぎると思っています。本来であれば政治・政局を伝えるべきメディアが、あろうことか自らがメインプレーヤーになるという越えてはならぬ一線を、朝日新聞は越えたと思うからです。

 いわゆる「加計問題」は、「総理のご意向」と記された文書のスクープから火が着きましたが、その文書を朝日新聞へ持ち込んだ人物はいったい誰なのでしょうか? 小川氏は、朝日新聞のスクープ記事には入手先の記述がなく『文科省関係者』一人しか確認者として登場していないことから、一人の証言で記事にする決断ができるほどの人物、つまり文科省事務次官の前川氏が文書を単独で持ち込み文書の信憑性を保証したと推測しています。

 私も、小川氏が示す理由のほかに、国会の閉会中審査で「総理のご意向」文書の情報元であることを前川氏が明確に否定しなかったことからも、前川氏自身または極めて近い者が文書を提供したものと考えています。

 そうだとするならば、文書提供者とその背後関係を知っていなければおかしい朝日新聞が、その後の報道で、前川証言をあたかも第三者の発言であるかのように報じたということになります。このようなことが認められるとすれば、たとえ信憑性の低い文書であっても、第三者を装って自身が都合良く証言し、メディアがその主張を大きく伝えることで、あたかも信憑性の高い文書であるかのような印象を与えることも可能となります。

 ちなみに、前川氏が文書提供者であるということは、あくまでも推測にすぎません。しかし、総理の意向があったことをその文書自体が否定する「総理の指示に見えるのではないか」との記載部分を影で隠して報道したことや、閉会中審査において前川氏は総理の意向なるものを自身の思いや印象以外では証言できなかったことなど多くの事実が、この推測を補強するものと思います。

 いずれにせよ、メディアと政治家、それにこれらと意を通じた胸に一物を持つ告発者もどきが結託し、メディアが一方に偏った報道をすることでいとも簡単に大きな政局を作り出すことができることが明らかになったのが加計問題であると思います。

 このように考えたとき、「森友・加計事件」は、“報道”という名のもとで、自らの主張に合致するように事実を捻じ曲げ、一方的な印象づけを繰り返し、国民から「知る権利」を奪い、世論をミスリードすることで政権の転覆を図ろうとした犯罪=報道テロといってもよいのではないでしょうか。

 朝日新聞が行ったことは、民主主義を否定し、民主主義のインフラたることを自ら放棄したといった生やさしいものではないと(私は)思います。民主主義の根幹=国民一人一人が自身の意見・考えを持つための前提として必要となる“事実を知る機会・権利”を破壊、少なくとも破壊を企図したか、または破壊しても構わないとの思いによるものが「森友・加計事件」のように(私には)見えます。

 このような民主主義の破壊者には、即刻退場いただきたいと強く願っています。

 

虎久、吼えます

はじめまして、郷 虎久と申します。

宮城県仙台市在住の昭和30年代生まれの男です。

このような私が日常の生活の中で感じた違和感や危機感などについて、思いっきり吼えていきたいと思います。

これから何を書いていくのか明確には決めていませんが、最近のマスコミ、特にテレビにおける政治の取り上げ方については、違和感を通り越して民主主義の危機とすら感じていますので、“政治とテレビ”に関しては、今後、間違いなく触れることがあると思います。

このブログ内の記事については、客観的な事実に基づいて発言することと、意見にわたる部分については意見であることを明示すること、この二つを自身に課していきたいと思いますが、取材力のない一般市民であるが故の限界や、好き嫌いなどで知らずにバイアスがかかってしまうことがあることについてはご承知おきいただきたいと思います。

なお、バイアスは、政治マターについて顕著ですので、あらかじめ現時点での私のスタンス(とはいっても、あまりはっきり・しっかりしたもではありません)を申し上げれば、

◇いわゆる革新か保守かといえば「保守」

◇朝日・毎日と読売・産経のどちらにシンパシーを感じるかと言えば「読売・産経」

となりますが、私自身は、特定の考え方にはとらわれることなく、素直な目で世の中を見て、多くの方々の意見を聞き、そのうえで自分なりに世の中を認識し意見を持ちたいと思っています。

このようなことで、これから吼えていきたいと思います。

不定期の発言になると思いますが、よろしくお願いいたします。